鎌田が考えるエンデュランス競技のトレーニングについて 第五回

いつまでたっても終わらない連載第五回目は、どんな強度で20分走を実施すればいいかがお題です。

 

まずどんな強度で実施すれば効果があるかというと、諏訪をそこそこ頑張っているペースから、全力よりほんの少し遅いくらいで登るペースの間であればOKです。具体的に言うとHRで言えば160〜180+αの間、パワーで言えば大津さんであれば260〜300+αってところでしょうか。この数値の外で20分走って、相当本気でTTやるか、かなりサボらないと出ないので、そこまで気にしなくても大丈夫です。

 

おそらく、色々な本を読んでも、こんなにラフな書き方はしていないと思います。

実際、この強度で効果があるのは間違いないのですが、トレーニング本なんかだと、 20分×2セット レスト10分 FTPの90〜95% maxHR80〜90% みたいに、更に細かく具体的に書かれています。でも、僕はここまで細かく定義する必要はないと思っています。確かに内側の器を大きくすることだけを考えるのであれば、より細かく管理するのもありです、というよりした方がいいでしょう。更に、その前後のアップ、ダウンまで管理出来るのがベストです。でも、これが出来るのは2〜3ヶ月スパンのトレーニング計画を立てて、確実にトレーニング量(時間)を確保出来る場合のみだと思っています。

僕らの場合は、いわゆる社会人生活が第一にあって、自転車選手としての生活は第二になると、状況次第でトレーニング量(時間)が変わってくるので、細かい管理は仕切れなくなります。アップ40分、20分×2セット、レスト10分、ダウン30分のトータル2時間っていう計画をたてても、仮にその日にもっと時間がとれる日であれば、強度を下げてでも、トータルの負荷を増やす為にもっと乗った方がトレーニングトータルとしては効果が出るからです。

 

説明しにくいんですが、内側の器を大きくする為だけに拘るんではなくて、トータルとしての練習負荷との天秤が必要で、時間があって反復回数を増やせるんであれば強度を下げてトータルの負荷を上げるべきだし、1セットしかやる時間もしくは気力がないのであれば、その1セットで全力を出し切るべきです。

だから、僕はまずトータルの練習量と負荷を決めて、その中で反復回数を決めて、じゃあその回数で出し切る為にはっていう強度設定をします。

具体的には休みで5時間乗れるから、その中で諏訪五ってのを決めた上で、5本で限界がくるペースを作ります。あくまで大事なのは5本を同じペースで出し切るっていうところ。仮に3本で限界がくるとしたら、それはそれで効果がありますが、狙ったものとは違う効果になってしまいます。それと、僕はどちらかというと何wっていうのより、5本ギリギリいけそうっていう自分の感覚を大切にしました。wで管理してしまうと、諏訪五にビビって270w×5くらいの設定しか出来ないけれど、感覚で走った結果279〜295wっていうのが実績で、wを設定してしまうよりいい記録が出ています。w管理をしなかった結果として、高い負荷を掛けることが出来たということです。

あと、気を付けないといけないのは、自転車の本だと、どの本を見ても内側の器(FTP)の何%っていう書き方をされていますが、このゾーンは内側の器(FTP)に対して何%よりも、実は気にしないといけないのは外側の器(VO2max)に対して何%かです。なぜかと言うと20分走というのは、内側の器を外側の器に近づける為の練習だからです。そうすると、260〜320wっていうのはFTPに対しては85〜105%と20%の広いスパンに見えますが、VO2maxに対しては60〜70%と10%の誤差でしかなくなります。

自分で書いていて分かりにくい説明になってしまったと思っていますが、こんな感じで理解出来ますかね…?