鎌田が考えるエンデュランス競技のトレーニングについて 第三回

そもそもこれって連載物のつもりはなかったんだけど…、今回でクローズしてないので、皆さんが期待してるか分かりませんが、次回もあります。

 

レーススピードに対応するため練習、もしくは自分の想定を超えた負荷への対応はどのようにしていくのでしょう?という大津さんの質問に対しての答えです。何故、最近、僕が諏訪にこだわるかも説明をすることになります。

 

まず、 自分の想定を超えた負荷への対応 という質問ですが、僕は負荷=量×強度という言葉の定義で書いていますので、質問の流れ上、これは 自分の想定を超えた強度 という質問だと思いますので、こちらへの回答を主にします。

 

まずは先に簡単な方から、自分の想定を超えた負荷に対応する為には、練習をもっとガンバレ、以上です。前回、レースで想定される負荷と同じ負荷を練習でやって下さいと書きました。裏を返すと、練習での負荷が足りていないから、レースの負荷に耐えられないわけです。量が足りないか、強度が足りないかは自分で振り返って下さい。気を付けないといけないのは、負荷は量と強度のかけ算なので、どちらかが成り立ってなければ、負荷は掛からないということは忘れないように。

 

では、本命に。レーススピードに対応する為の練習ですが、既に力があって余裕で対応できるレーススピードについて書いても仕方ないので、レーススピードが自分の想定外のスピード=強度の場合の練習についてです。まず、ロードレースなどのエンデュランス能力の構成要素ですが、僕は、これを外側の器、その内側の器、それに入れる水、の3つで表現します。

専門的に言うと、

一番大きな器=最大酸素摂取量(VO2max)

その内側の器=AT(Ananerobic Threshold/無酸素性作業閾値)、LT(Lactate Threshold/乳酸性作業閾値)、OBLA(On set Blood Lactate Accumulation/血中乳酸蓄積開始点)

それに入れる水=無酸素容量もしくは、対乳酸能力

といったところです。それぞれの細かい説明が欲しい人は、専門書を読むか、僕に個別に聞いて下さい。ここではあくまで、出来るだけ簡単に説明するがコンセプトで、ここから先でこれらの単語は使いませんので理解しなくて問題ありません。ここから先のレースという単語は、強度の上げ下げがあるロードレースのことを指し、ヒルクライム個人TTはまた違った意味になります。

レースの際に重要なのは、水を他の人より勢い良く流し、内側の器から溢れさせないかです。水の勢いが足りなければスピードアップに付いていけず、付いていけたとしても、器から溢れてしまったらオーバーヒートになります。だから、内側の器を極力大きくして、勢い良く水を出せるようにすればいいわけです。想定外の強度というのは、そもそも想定していなければ、それに対しての練習は出来ませんので、自分の内側の器を大きく、水の勢いを強くして、想定内にするしかないです。ここで、なぜ外側の器に触れないかというと、この部分は20才±3才程度で成長が止まってしまうから、今さら触れても意味がないからです。逆に、目標としているレースの強度が外側の器より大きい場合は、どんなに今から練習をがんばっても、勝つことは出来ません。

 

ということで、想定外の強度を想定内の強度にして耐えられるようにするには、どんな練習をすればいいかに入りましょう。まずは外側の器の大きさに、いかに内側の器の大きさを近付けるかが最初のポイントです。順番を間違えて水を勢い良く流す練習から入ると、器から水が溢れるだけで練習効果は上がりません。結論だけ書くと、これに一番効果があるのが20分走です。これを何度も繰り返して下さい、繰り返した数だけ器は外側の器に近付きます。

気付きましたか?ここを鍛える為に、僕はひたすら諏訪をリピートしているんです。別に諏訪じゃなくて、平地でもローラーでも20分走が出来ればいいんですが、一番練習しやすいのが、たまたま諏訪なだけです。20分走で一定の負荷を掛けつつ、繰り返すとすると、

練習効果=量×強度×反復回数

になります。今回は量は20分と決まっています。反復回数ですが、皆さんは強度を保ちながら、何回リピートできますか。僕の場合は5回が限界と思ったので諏訪五になったわけです。それを一定強度で繰り返すには全力で登ったら繰り返せないので、80〜90%で反復しています。だから、一回しか登らないのなら、全力で登った方が練習効果は高くなります。自分で、このかけ算の答えが最大になる方法(反復回数)を探して下さい。

 

僕がおきなわに出ると決めた時がレース10週間前で、最初の3週間(9/21まで)はこのトレーニングをすることに決めました。その後は、少しずつ水を勢いよく流す練習に移っていきます。

また、長くなってしまったので、次は水を勢い良く流す方法について。それ以外にリクエストなどあれば言って下さい。